【お歳暮】図録 北太平洋 アイヌ サハリン 衣装 漆器 刀 蝦夷地 民族工芸 木彫 仮面

2001年発行 全96ページ

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■本書序文■
北太平洋の先住民は寒さや風雪に堪えながらつつましく生き抜いてきた
狩猟漁撈民であるとのイメージが一般に流布している。
今回の展示は、このイメージをくつがえし
「北方諸民族は狩猟漁撈民であるとともに、積極的な交易者であった」
ことを歴史的な視点から提示し、かつ彼らの民族文化の形成において先住民間の交易や、
先住民と欧米人とのあいだでおこなわれた毛皮交易が重要な役割を果たしてきたことを示そうとするものである。

中世以来、ヨーロッパや中国においてラッコやクロテンの毛皮は、
ステータスシンボルとして貴族や皇帝のあいだで重用された。

その生息地である北太平洋に17世紀以降、中国やロシア、
日本などの国家と商人が、徴税や交易のために競って進出するようになった。

先住民たちは毛皮と引き替えにガラス玉をはじめ絹製品や鉄製品など外来品を手に入れた。
彼らはこれらの外来品と地元にある素材を組み合わせて独特な装飾工芸を各地域でつくりあげたのである。
本展示では北太平洋地域における交易活動とその諸影響を、
交易品や先住民がつくりだした工芸品などの「もの」をとおして紹介する。

この展示の解説書である本書は、先住民世界の交易と工芸に関する総論と「アイヌと和人社会の交易」
「サハリン・アムール川流域の交易」「アラスカ・北西海岸の交易」の各論からなり、
各地域において先住民がどのように交易にかかわりながら独特の民族文化を開花させてきたかが記述されている。

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